
「株だけで値動きの大きい投資信託には、まだ踏み出せない。でも積立は始めたい」——そんな迷いに関わる見直しです。新NISAのつみたて投資枠では、指数に連動しないアクティブ型などの投資信託が対象になるには、いまは株式の割合が50%を超えていることが求められています。令和8年度税制改正の大綱で、この要件を株式と公社債を合わせて50%超へ広げることが示されました。何が変わり、何は変わらないのかを、金融庁の公表資料で中立に整理します。
何がどう変わると示されたのか
金融庁の広報誌「アクセスFSA」2026年2月号の政策解説は、現行の要件を「ポートフォリオに占める株式の割合が50%超であること」と説明しています。大綱ではこれが見直され、株式と公社債を合わせて50%超を占める投資信託もつみたて投資枠の対象にすると示されました。金融庁が2025年12月に公表した大綱の概要資料では、同じ内容が「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」への変更として書かれています。
| 項目 | 現行 | 大綱で示された見直し |
|---|---|---|
| 投資対象の要件 | 主に株式に投資するもの(株式の割合が50%超) | 主に株式又は公社債に投資するもの(株式と公社債で50%超) |
| 想定される商品 | 株式中心のアクティブ型など | 債券中心の投資信託や、複数の資産を組み込んだバランス型も対象になりうる |
| 変わらない点 | 長期の積立・分散投資に適した投資信託として金融庁の基準を満たすものに限られる | |

なぜ債券中心の商品を加えるのか
理由は資料にそのまま書かれています。アクセスFSAは、債券中心やバランス型の投資信託が充実することで、リスクを取ることに慎重で、なかなか投資に踏み出せない方々にとって投資を始める第一歩になることを期待すると説明しました。大綱の概要資料の金融庁注は、対象として「リスク許容度が高くない若年層や高齢層など」を挙げています。
同じ大綱では、2027年1月から0〜17歳もつみたて投資枠を使えるようにし(年間60万円、非課税保有限度額600万円)、指定指数に読売株価指数とJPXプライム150指数を加えることも示されました。若い世代から高齢の世代まで、使える人と選べる商品を同時に広げる設計だと読めます。

「債券が入る=安全」とは読めない理由
ここは冷静に見る必要がある点です。公社債の割合が増えれば、株式中心の投資信託より値動きが小さくなる傾向はあります。それでも、債券の価格は金利が上がれば下がりますし、外国の債券なら為替の振れがそのまま基準価額に乗ります。債券中心であっても元本は保証されません。
要件の書き方にも注意が要ります。「株式と公社債を合わせて50%超」という条件は、残りの半分弱に何を組み入れるかまでは決めていません。どの資産をどの割合で持つのかは、個々の投資信託の交付目論見書に書かれます。見直しの対象になるのは要件であって、個別の商品の中身ではありません。
もう1点、金融庁の基準は信託報酬などのコストにも上限を設けています。債券中心の商品が加わっても、その基準を満たしたものだけが対象です。選べる数が増えることと、どれを選んでも同じであることは別の話です。

同じ大綱で示された、つみたて投資枠の周辺の変更
商品の要件のほかにも、つみたて投資枠に関わる見直しが並んでいます。概要資料から読み取れるものを挙げておきます。
- 定期売却サービスの手数料:いまはつみたて投資枠の売買手数料はゼロとされていますが、定期売却サービスに限り、通常必要と認められる手数料を取れるようにするとされました。運用しながら取り崩したいニーズに応える趣旨です。
- 指定指数の組み合わせ要件:一定の株式指数について、他の指定指数と組み合わせなければならないという要件を撤廃するとされました。
- 所在地確認の廃止:口座開設から10年経過時などに金融機関が行う住所等の確認の措置を廃止するとされました。
いずれも大綱の段階で示された内容です。大綱は2025年12月に閣議決定され、関連法案は通常国会で審議される予定と説明されていました。施行の時期や、実際に対象商品として届け出られた投資信託は、金融庁の公表で確かめる必要があります。

どんな人に関わる見直しか
株式100%の投資信託の値動きに不安があって積立を始められずにいた人、取り崩しの時期が近く値動きを抑えたい人、子どもの口座で長く積み立てる予定の人には、選択肢が増える見直しです。一方で、すでに株式中心の投資信託で積み立てている人にとっては、いまの商品を替える理由にはなりません。
見直しが施行されたあとに、債券中心の商品を検討する場面を想定して、手順を具体にしておきます。たとえば交付目論見書の「ファンドの目的・特色」に「国内外の債券に70%、株式に30%程度を目安に投資」と書かれていれば、株式と公社債で100%近くになり、新しい要件の範囲に入る組み方だと読めます。逆に、株式と公社債の合計が半分程度で、残りがリートやコモディティ(商品)といった資産なら、要件の境目に近い組み方です。どちらが良い悪いではなく、値動きの源がどこにあるかを数字で把握してから選ぶという順序が大切になります。
過去の値動きの幅は、交付目論見書の「投資リスク」の欄にある年間騰落率のグラフで確かめられます。最大と最小の幅を、いま積み立てている商品と並べてみると、債券が入ることで振れ幅がどれだけ変わるのかが具体的に見えてきます。
確かめる順番は変わりません。まず金融庁のつみたて投資枠の対象商品に載っているか、次に交付目論見書で株式と公社債の割合と残りの組入資産、最後に信託報酬と過去の値動きの幅です。対象商品の届出一覧の読み方はつみたて投資枠の対象ファンドはどう選ばれる?で、投資信託の制度上の分類は投信の制度上の分類5つを中立に整理で扱いました。新NISAで買えない商品の例は毎月分配型は新NISAでは買えないにまとめています。

よくある質問
債券中心の投資信託は、もうつみたて投資枠で買えますか?
大綱で要件の見直しが示された段階の内容です。実際に買えるかは、その投資信託が金融庁の基準を満たして対象商品として届け出られているかで決まります。金融庁のつみたて投資枠の対象商品の公表で確かめてください。
要件はどう変わるのですか?
指定指数に連動しない投資信託について、現行の「株式の割合が50%超」から「株式と公社債を合わせて50%超」へ広げると示されました。大綱の概要資料では「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」への変更と書かれています。
なぜこの見直しが行われるのですか?
アクセスFSA2026年2月号は、債券中心やバランス型の投資信託が充実することで、リスクを取ることに慎重な人が投資を始める第一歩になることを期待すると説明しています。概要資料が挙げる対象は、リスク許容度が高くない若年層や高齢層です。
債券中心なら元本は守られますか?
守られません。債券の価格は金利の上昇で下がり、外国債券なら為替の影響も受けます。値動きが株式中心の商品より小さい傾向があっても、基準価額が購入時を下回ることはあります。